年初から噂になっていた日本のHSBC Premier(プレミア)の閉鎖。やはり買い手がつかなかったようで、そのまま閉鎖になるそうです。
Bloombergの記事
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LZSRVI1A1I4H01.html
HSBCのアナウンス
http://www.hsbc.co.jp/1/PA_1_1_S5/content/pdf/120222_notice_jp.pdf
PB(プライベートバンキング)はCSに譲渡されたから人員は当面そのまま異動できただろうけど、プレミア人員はやはりリストラかな。。
なぜPBは譲渡できて、プレミアは出来なかったかを考えてみます。
どこもPBといえば、大体3億円程度の資産以上の人が対象だけど、プレミアは1千万円以上。
富裕層向けのビジネスの基本は、貸付金利および投資商品の売買の手数料。しかし富裕層ということを考えると、後者のほうが圧倒的に重要になってくる。
もちろん資産が多い人ほど商品の売買が出来るので、結局このビジネスモデルでは、顧客の資産総額と収益はほぼ比例する。
もし単純計算すると、プレミア顧客を30人集めて、PB顧客1人の価値。
しかし、3億持っている人と、1千万円持っている人を比べて、投資に回せる余剰資金の割合は大きく違う。
3億もっている人ならば余剰資金も豊富だが、1千万円程度の人では、「どうにか1千万円貯蓄がある」という人も混じっている。そういう人は、投資に回せる余剰が殆どない人も多い。
そうなると、50人、60人という規模を集めて、ようやくPB顧客1人の価値となる。ARPUで言うと50倍は差が出てくる。
しかも、顧客1人のケアにかかる手間は基本同じ。
つまり、PBビジネスに比べて、人員は圧倒的に多く必要になり、また50倍の人を集めるために宣伝費用も莫大にかかる。
このように1000万円程度の中間富裕層相手では、よほど商品をうまく売る仕組みか、顧客を集める仕組みがないと、PBと比べてかなり効率的に悪いビジネスモデルになる。
また日本の文化的にコミュニケーションの構築には非常に時間がかかるため、都銀から客をとるのは至難のわざ。何かしらの魅力的な仕組みがないといけない。
残念ながら日本のHSBCプレミアは、開始直後にリーマンショックがあって市況が最悪になったのに加え、上記の戦略が乏しかったのも事実。PBでもなく都銀でもないのに、コストは大きくかかる中途半端な状態が4年も続いたのは、むしろ長かったかもしれません。
最終的には海外送金需要の顧客くらいしか呼び込めなかったのではないかなと推測してます。
個人的には立ち上げ時期に社内にいましたので、非常に残念。
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