郵貯の預金限度額の引き上げ決定を考える。
マスコミは民業圧迫・セーフティネット論に焦点がいっているが、政策としての効果、郵貯にお金が集まるとどうなるか、といった所
が一番気になるところ。
私として、この引き上げで一番不健全だと思うのが、金利をゼロに抑えて、市場にお金を潤沢に流して流動性を供給しようとしているこの時期に、預金額を増や
す政策という矛盾。
郵貯は暗黙の政府保証と優遇税制に守られて、金利を他の銀行より優位に提供できる仕組みです。なので、預金先として魅力であり資金はかなり集められます。(だから限度額があるわけですが)
税収減、特定財源への注目があって融通が利かなくなったのもあって、この郵貯の高金利による資金調達能力に目をつけて、郵貯経由で政府が自由に使える財源を取得しようと
しているのでしょう。参院選前に特定郵便局を筆頭とした得票網への恩返しも強いでしょう。
郵貯は国債や財投債・特定法人といった政府関連以外への投資が制限されているので、集まった預金はそのまま政府系の財源に入っていきます。
また、一般の民間企業への投資などはなく、流動性の観点では、かなり市場にまた戻るまで時間がかかってしまい景気対策としては成り立ちません。
結局、集まったお金で赤字国債を購入して、その金利の一部分を、郵貯の金利という形で還流しているにすぎず、子供手当てとほぼ同じような発想です。一見、市民
にメリットがあるように見せながら、実は赤字の財源から流れ出ただけで、将来的には財政収支の問題は膨らむ一方です。
また別の点として、郵貯には市場原理が働かないため非常に恣意的で不透明な投資になりやすい問題をはらんでいます。(特に特定法人への投資)
社債への投資も許可しようという話もありますが、もしそれが認可されたら、全くクレジットリスクの計算をしたことが
ない素人による失敗が目に見えています。
新東京銀行と同じことが待っているだけです。いやもしかしたらもっと悪いかも。。。
齋藤元大蔵次官が社長の日本郵政は、どう説明しても究極の天下り企業です。
そこに(暗黙の)政府保証をつけてお金を集める仕組みを強化していくことは、天下り撤廃や財源圧縮とは逆方向としかいいようがない。
いったい今の政権は何枚舌があるのか、本当に不思議に思う。まだ麻生さんの方の「ブレ」の方がかわいげがあったかな。。
次の参院選では、どの政党がどんなマニュフェストを出しても、だれも信じないでしょう。
少数の政党があといくつか出来ながらも、与野党のゆがみを嫌って、民主系がぎりぎり過半数。というところに落ち着くのかな。。。いずれにしても失望感の漂う選挙になりそうです。
はじめまして。
郵貯限度額引き上げについて調べていたら、コチラに辿りつきました。
限度額引き上げ=政府の資金調達なのですね、納得です。
ホント誰の為の政治なのか。。
メディアでも民主が政権と取る前は自民党批判、
政権を取った後は民主党批判と、足の引っ張り合いがハッキリ目に見えてます。
メディア買収はいー加減にして、ちゃんと政治をして欲しいですね。。
たださん>コメントありがとうございます。
この政権もさることながら、メディアの軽率さは目に余りますよね。
特定郵便局をあれほど叩いていたのをすっかり忘れて、総選挙では自民批判、支持率下がったと見るや民主批判に転じたり。。。
言うは易く、行うは難し、を正に体現しているいまの政権。
そして、郵政、天下り、脱税、汚職といった大きな問題と矛盾を中途半端にしか攻められないマスコミと他政党。
選挙公約には意味がないことが分かった以上、いったい次の選挙では何を信じていけばいいか分からない最近です。