1年ほど前にブログで書きましたビルマの軍部政権について、最近メディアにすっかり取り上げられなくなってしまったので状況を少し調べてみました。
記憶に新しいのは半年ほど前、サイクロンが直撃して推定14万人という多数の死傷者が出て、ホームレスになった人は百万人規模と言われています。1年通して最高気温は30度近辺の熱帯のため、伝染病などが出ていても不思議ではありません。そんな中、国民投票を強行して軍事政権に有利な憲法を成立したあたりです。92%の可決ですが、投票の正当性については外部の調査は行われていません。
このような状況にも関わらず、メディアはあまりに取り上げず、また国際的な批判がまだらなのが不思議です。批判どころか、周辺国の中国、ロシア、インド、タイは親軍部政権の姿勢です。
調べてみると、現在ビルマにいる外国人記者は新華社通信のみの様子。中国の通信社なので親軍部政権です。
また国内のメディアは国営のものだけで、北朝鮮と同じようなメディアを使った統制が行われていると推測できます。(国内については良いもの、外国については悪いニュースだけ流す)実際、サイクロンへの軍政の対応に批判したジャーナリストは逮捕されています。
アルジャジーラの記事より
国際的な世論を考えると軍部政権を支持する事は、明らかに不当に思われやすいにも関わらずなぜ支持するのか。その辺りを考えてみました。
■地理
中国にとってはインド洋への経由地であり、資源の輸入経路として、および戦略的に対インド・米国を考えたとき重要である。一方インドも対中国を考えた才に、ビルマを中国だけに偏らせるわけにはいかず、親軍政で協力体制を作っている。
■資源
油田および特にガス田が豊富。経済封鎖で米国と取引が出来ないミャンマーにとって、アジアが主要な取引相手。一方、急速にエネルギー需要が伸びている中国およびインドにとってはエネルギー供給国として魅力的で、利害が一致。いくつかの大規模ガス田でもそれぞれ協力して開発中。
■商業
人口は5000万人。近隣諸国にとっての輸出先としてはある程度魅力的。また中国・ロシアにとっては武器の輸出先となる。
■外交面
・ロシア、中国は同様の圧政を行っており非難できない。
・タイにとっては国境付近に存在する反タイ政府的な少数民族を抑える効果がある。
この辺りの状況が重なって特に中国・インドにとっては、現軍政権に対して強く出られない事情が伺えます。インドとの協力体制を危惧して、パキスタンもミャンマーに強く出られていないかもしれません。
この状態を最も活用しているのが今の軍政権でしょう。
しかし、現実的には軍力による圧政がまかりとっているにもかかわらず、国際的な対応が分裂している点で北朝鮮よりも悪質な状態といえるかもしれません。
特に自国が「黄金の三角地帯」と呼ばれる地域に掛かっており、このまま経済がさらに破綻したらアフガンのように麻薬製造に一層力を入れると考えられます。また、中国・ロシア・インドのどこかが原子力そして核兵器の技術を輸出する可能性も否定できません。
オバマ新大統領はアフガンにより注力するとのことですが、ぜひミャンマー政権についても一緒に対応を考えてほしい所です。そしてメディアは情報が少なくても継続して国際的な批判を行い、世論を中・ロ・印がこれ以上協力を出来なくなるように持っていってほしいですね。
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