少し可愛い名前ですが、かなりリスクの高い証拠金取引がロコ・ロンドン(貴金属)取引です。ロンドン市場での金現物価格を指数とした証拠金取引です。これについて高裁で違法との判決がでました
。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200803/2008032801059&rel=y&g=soc
商品取引所法とかにも載ってないし何で認められるのかな、と思ったらやはり違法との見解が妥当なようです。
ロコ・ロンドン金の意味は、ロンドンでの金の受け渡しを前提(運賃等を一切含まない)、という意味です。
ちなみにロコ・東京なら東京での受け渡しが前提になるので、運賃・保険料などを勘案した価格になります。いずれにしても実際には受け渡しは無く、あくまで指数および為替レートの上下によって差金決済されます。
10%以下の証拠金取引でレバレッジ(数十倍)が効く為、小さな変動でも損益は大きくなります。さらに危険なのが、この取引は相対であって取引所などを介さないため、悪質な業者によって全てのレートを操作され得ることです。
また業者が破綻する信用リスクも十分にあります。
ロコ・ロンドンは取引所との代理・媒介取引ではなく、その業者との相対なので、商品の理解も当然ですが、第一にその業者の信用性から疑ってみるのも大切です。
ちなみにスワップの根拠がわからないとの指摘がありますが、ロコ・ロンドン金取引でのスワップ ポイントはありえます。
金をショートして、ドルを手に入れたらドル分の金利がもらえます。(逆に金をロングにしたら、ドル分の金利を払う)。
金をゼロ金利通貨のFXと考えるとわかりやすいと思います。また金の金利として金の貸出レートを適用することも考えられます。
英語ですが簡単な説明のページです。
Philip Futures
ただ、業者にとってスワップポイントは勧誘しやすい言葉なので受取分だけを強調しているかもしれません。また相対ということを考えると、顧客がショートを取ると業者が得するポジションを予め取っている可能性も考えられます。
以下に日弁連の意見書がとても参考になるので、興味があったら読んでみてください。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/070316.pdf
個人的には、ロコ・ロンドンは悪質な業者が素人を騙すためのツール、という程度で済まさずに、こういった商品を商品取引法・金融商品取引法といった法令できちんとカバー出来ていないことが問題であり、そこに焦点をあてて議論するべきです。
金はレアメタルであり、保有者および利用予定の業者は多数いるため、金先物やロコ・ロンドン取引はそのヘッジ手段としての有用性があります。
もちろんあらゆる市場が投資家やヘッジ用途だけで構成されているわけはなく、スペキュレーター(価格の値動きで損益をあげようとする人)がいることで流動性と効率的な価格構成が形成されます。
にもかかわらず、日本の高官の中ではスペキュレーターを排除しようとする傾向が見受けられます(北畑事務次官を筆頭として。)
新しい金融商品をどこまでを適法とするか、そしてそれを適法とするための条件を定めた明確なガイドラインが出来ないと、日本をアジアの金融センターにする、という目標からどんどん遠ざかる結論になります。(まぁそもそも本当に積極的なのか疑問ですが。)
現時点ではFXも含めてデリバティブ商品に関しての法案がかなり曖昧なので、ぜひ国内外の有識者を集めて検討してほしいところです。
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